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小枝先生の医学史探訪(第4回)- 打診法の発明 –

2017.8.25

スタッフブログ

こんにちは、教員の小枝です。 今回の医学史探訪第4弾は打診法の発明です! 視診触診打診聴診は身体所見を確認するための診察法の基本です。 そのなかでも、視診・触診・聴診は古代ヒポクラテスの時代から行われていました。 一方、打診法の歴史は浅く、発明されたのは18世紀中頃と言われています。 その打診法を発明したのがウィーンの医師レオポルド・アウエンブルッガー(1722~1809)です。 Auenbrugger レオポルド・アウエンブルッガーの肖像画(Wikipediaより引用) 実家は宿屋を営んでおりました。ある日、彼の父親がぶどう酒の樽を外から叩いて反響をきいているのをみて、音楽に造詣の深かったアウエンブルッガーは「これだ!」と打診法のヒントを思いつきました。 彼は、患者の胸を指で叩いて、その音調を調べてみた。 すると、肺の部分は澄んだ音「トントン」、心臓の部分は濁った音「ドンドン」がする。 興味深いことに、胸部の病気が進行すると、肺の打診音が濁ったり、逆に太鼓のように響いたりする。 彼は病死体を解剖して打診所見と病変の相関について検討し、さらに、病死体の肺に水を注入する実験までして打診音の変化を調べた。 アウエンブルッガーはこうした研究を7年間にわたって積み重ね、1761年にこの新しい診察法を発表する著書を出版した。 それが「新しい考案—――胸壁の叩打によって、胸腔内部に隠れた病気の特徴を見つけるために」である。 しかし、打診法は発表当時にはまったく注目されなかった。 それが医学界に広く知られるようになったのは1808年、ナポレオンの侍医長であったフランス人医師ジャン・コルヴィザールがアウエンブルッガーの独語の著書を仏語訳にして出版したのがきっかけだった。 コルヴィザールは「心臓病の診断に最も有用な方法」としてこの打診法を紹介した。 これを契機に、打診法は世界中にひろまっていったのだ。 アウエンブルッガーの研究は、彼の死の前年にようやく認められたのである。
参考文献:医学の歴史(小川鼎三 著・中公新書)、まんが医学の歴史(茨木保 著・医学書院)

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